ダメになる会社の特徴① 「よどみ」と「流れ」

shutterstock_333737096いろんな業界や会社を分析したり、評価する仕事をしている友人と、ときどき話すことです。

「河﨑って、何年もずっと、傾いた会社で働いてるじゃん、そういうダメになっていく会社って、なんか特徴とかあるの??」

あー、まあ…、でもたしかに、会社がダメになるパターンって、みんなおんなじだと思う。
たぶん、そういう左巻きパターンって、どこの業界でも、どこの会社でも、おんなじなんじゃないかな。

「そうなの?? たとえば?」

う~ん、共通パターンが、いくつかあると思ってるんだけど…。

まず一つめは、そういうダメになってる会社って、オバケとか幽霊がでるとか、怪談話が、なぜか必ずある。
あと、社内に不幸がつづく。
これ、事業再生をつづけてきて、一番の実感なんだよね。

「はっ??そういうところ?」

うん。
念のためだけど、ぼくは霊感もないし、別にオバケも幽霊も、とくに信じてないよ。
ただ、各社とも、なんかしらん、そういう共通点があるよね、不思議だけど。

成長してない会社とか、業績がわるい会社って、とにかくすべて、「よどみ」の状態にある。
現実的な、おカネの流れも、社内のコミュニケーションも、とにかく、「よどみ」にあるんだよね。

そういう会社って、運気というか、縁起というか、なんか、そういった面でもよくないみたい。

「…そういう会社に入社して、わるい流れを、良くするわけか。」

まあ、なんべんも言うけど、ぼくは、オバケはとくに肯定派じゃないし、専門外の分野だから、よくわからんけど。

でも、ビジネス的にいえば、「業績がわるい状態」というのは、要は、おカネの流れが「滞留」してるんだよね。

そして、おカネの流れが「滞留」する原因ってのは、たとえば、部署間のコミュニケーションがわるいとか、業界や時代の情報をとってないとか、人の気持ちがバラバラだとか…。

とにかくそういう、「情報」とか「心」の流れが、「滞留」していることが、おカネも「滞留」させるし、結果的に、会社がいつまでも成長しなかったり、環境の変化に取り残されて、最後は、事業再生のステージに入っちゃう。

そんなふうに、情報や、人の心が「滞留」してしまう、最大の原因は、社長にある。

そこで、そういう状況の職場に入社して、改革やイノベーションを起こして、人の心も、情報も、おカネも、するする「流れる」ようにして、悪いものをカットしたり、良いものを伸ばすのが、「事業再生」の最大のポイントだと思う。

そこでは、運気というか、業(ごう)とか縁みたいなものも、俺が逆転させるぞ、くらいの強い心でやらないと、ものごとが進んでいかない。

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「あ~、なるほど、だんだんわかってきた。おカネの流れの「滞留」って、たとえばどんなの??」

ぼくの持論なんだけど、それは、「在庫」にあらわれるケースが、一番多い。
次が「売掛金」、「販売管理費」かな。
でも、一番、モノサシになるのは、やっぱり「在庫」だと思うよ。

「ふんふん。」

これも持論だけど、「在庫」をみると、経営の失敗が、ぜんぶわかる。

たとえば、時代にあっていない商品やブランドとか、上代や原価が、時代とか買い場にあっていないとか、あるいは、ライセンスで借りた商品とかブランドばかりで、自分で成功させているブランドが一つもないとか。

これらは、社長とか商品企画が、外部環境をわかってないことを意味するし、営業部門と商品部門とか、異なる部署間でのコミュニケーションができてない、あるいは、社長が交通整理できてない、といったことが、推測できる。
要は、マーケテイングとか、イノベーションの失敗だよね。

また、卸売りや商社のビジネスで、在庫のなかに、旧年式のものが、SKUが「歯抜け」になってポロポロあったり、箱や附属物が古いものがある場合には、営業マンが、バイヤーとの間で、まめに返品とか、交換に応じていたりする可能性が高い。

バイヤーとの間で、返品とか、交換をやたら繰り返している営業マンは、けっきょく、営業力がないんだよ。
上司が、それを見抜けてないわけで、その上司とか、上司を選ぶ経営者にも、人を見る目がないな、と推測できる。

あるいは、上司に見る目があっても、営業マンがそれを報告してないケースもあって、その場合には、社内のワークフローとか、権限規定が整えられていないことが原因になっている。

こうしたことは、人事評価のシステムが機能していない、社内管理がいきとどいていない、といったことが本質的な原因なわけだ。
また、在庫責任を、営業部門か商品部門かに、ハッキリさせていない時点で、社長のリーダーシップも問題があるのでは・と推測できる。

そもそも、返品とか交換ありきの営業をやってる時点で、商品力もないわけで、これもやっぱりマーケティングの失敗。

マーケティングということでいえば、商品部門の社員が、ただ商品を発注することを自分の仕事だくらいに思っていて、「いかに売るか」という視点が欠落したまま、漫然と働いていることも多い。結果として、おカネが、在庫にどんどん化けて、滞留することになる。

また、営業マンとか、商品企画部の失敗を隠したり、最悪は粉飾決算をごまかすために、「隠し在庫」とか「隠し倉庫」があることもある。
こうなると、原価計算が狂ってるので、PLもバランスシートも粉飾されてる。

とすると、社長や管理部門と、営業部門とか商品部門などとの間で、コミュニケーションが不十分だな・とか、あるいは、財務(決算書)と、営業の数字とが、一致しない会社だな・とか推測できる。
後者の場合は、いくら経営計画にKPIをおいたって、メーターがちがうんだから、いつまでも再生できない。

また、数字ということでいえば、ITシステムや物流センターが、現場で使いやすいシステムになってなければ、在庫はどんどん溜まっていく。
これも、会社が、システムと現場との関係を、きちんと理解できていないことが原因にある。

それに、職場の整理・整頓とか、5Sが不十分で、社員に雑なタイプが多いと、仕事に必要な情報が職場で共有されなくなるので、これも結果的に、在庫をふくらませる原因になる。

……とまあ~、たとえば、こうしたことの複合で、「在庫」は滞留して、回転がわるくなっていくわけだ。

「なるほど~!」

売掛金が滞留する原因とか、販売管理費が減らない原因も、おんなじような力学の複合だよ。
こうしたことの複合が、どんどんおカネの流れをよどませて、バランスシートの右側、とくに借入金の過多を招いて、結果的に、債務超過とか、PLの悪化を招くわけだ。

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「おまえ、会社の中から分析してるから、アナリストより、リアルだな。でも、オバケとどう関係するのさ?」

けっきょく、こういうことが複合してる職場って、とにかく空気が冷たいんだよね。
社員の待遇もわるいことが多いから、なんか、会社へのルサンチマンも鬱屈してたり、お互いに協力しあわない空気だし。

社内の人たち同士が、協力しあわなかったり、ほんらい上司の器じゃない人間が上司をやっているから、職場の空気もギスギスしてる。

社長や経営陣が、社内で、オフィシャルなコミュニケーションを、ポジティブに活性化させてないから、社員たちは、お互いに、ひそひそと、うわさ話みたいなつながりで、コミュニケーションしてたりする。

で、職場もたいてい、3S、つまり「整理・整頓・そうじ」が不十分だったり、設備が老朽化しても放置されていたりして、本当に、オバケ屋敷みたいな部屋や場所があったりする。

そういう職場の風景が、社内に、オバケとか幽霊の怪談を生む、心理的な土壌になっているんじゃないかな。

「…あ~…、なんとなく、どんな社風か、想像がついてきた。」

そして、これは、オバケは専門外だからわかんないけど、そういう「よどみ」にある会社ってのは、わるいオバケや幽霊とか、わるい縁にとっても、居心地がいい場所なんじゃないか・なんて思うんだよね。
たぶん、わるいものってのは、「よどみ」が好きなんじゃないかな。

「なるほど、「よどみ」にあるかどうかが、キーポイントなんだな。」

そう、なんだと思う。

逆にいえば、再生が成功していってるときは、売掛金とか在庫の回転が良くなって、社内のコミュニケーションが、上下・ヨコすべて、するすると「流れる」ようになる。

だんだん、社員の目も、自信に満ちて、自分で考えて、自分で行動するようになる。
おカネや、情報とか人の心も、「よどみ」から、「流れる」になっていくんだよ。

そのためには、やっぱり、社員一人一人の心を、あっためて、火をつけていくのが大切で。
だから、社長が、社員全員と面接したり、気楽なコミュニケーションをするようにすることが、大切なんだよね。

(友人との会話は、まだまだつづきます。)

HOPEキャピタル 河﨑晋太郎
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