闇夜のヘッドライト。

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「『経営者として働く』って、どんな感じですか?」と聞かれることがあります。

う~ん、そんな特別なことではないと思いますが…、そうですね、ただ、「闇夜の峠を攻める」みたいなもんです。それは、サラリーマンと根本的にちがうと思います。

「闇夜の峠?」

はい。
まっくらな闇夜を、ヘッドライトは1メートル先くらいしか照らせない、先のわからぬ状態で、峠道をアクセル全開、ぶっとばして走る…ような感じです。

「はあ、アクセル全開、ですか。」

はい。変化がはやい時代なので、とにかくはやく走らないと。

ちなみに、運転する車がポンコツなら、事業再生ステージの経営。
まあまあの車なら普通の経営。 高級車なら、大企業の経営です。

どの車でも、「ちょっと前しかみえない状況で、ぶっ飛ばす」、という点では、おんなじです。

つねに闇のむこうを予想して、アクセルとシフトを操作してハンドルを切る。
ミスれば当然クラッシュ。正しい操作なら、生き残る。

「経営者として働く」って、それだけのことです。

「…なんか、むちゃくちゃ危なくないですか?」

はい。でも、「経営」ってそういうもんですよ。
たぶん、トヨタの社長でも、ユニクロの社長でも、同じことをおっしゃるのではないでしょうか。

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「闇夜の峠」では、「ヘッドライト」の存在は、とても大切。

これは、マーケティングのなんらかの指標だとか、市場の動向だとか、管理会計だとか、自分たちなりにこしらえた、なんらかの「モノサシ」をたとえたもの。
KPI (Key Performance Indicators: 業績指標) なんかも、この「ヘッドライト」に含まれる道具です。

この「ヘッドライト」がポンコツなら、ほんとに1メートルそこらしか照らせない。
でも「ヘッドライト」が高性能なら、まあ3メートル、ひょっとしたら10メートルくらいは照らせるかもしれない。

性能のいい「ヘッドライト」をデザインできるかどうかは、本だの研究だのいろいろあるのだけど、最後はもう、経営者の「競争センス」の勝負。

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「闇夜の峠を攻める」ときは、なすべき操作を、どんどん矢継ぎ早にくり出せるか、が大切。

経営者の才能の一つは、「やるべき手を、次々と、同時にくりだす」こと。

峠を走るときは、アクセルだけではなく、シフトもブレーキも、状況に応じて、複雑に組み合わせながら、走る。

経営もそれとおんなじで、複数の武器を、同時に駆使しながら走る。

コンサルタントや士業の人のように、「評論」「分析」を口にするだけでなく、「なにを」「いつ」「どうやって」手を打っていくのか、その内容とか、そのタイミング、バランスがシビアに問われる。

まさに、デリケート操作を繰り返しながら、クルマやバイクを自在に操る感覚とおんなじです。

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「闇夜の峠を攻める」なんて、誰でも怖い。とんでもない危険なこと。

だけど、世間の人は、だれも気づいてないだけで、人生とは、根本的に、危険で怖いことです。

みんな「枠組み」に守られているから、気がついてないだけ。

たまたま、自力で「枠組み」を作ろうとする人間たちだけが(←それは経営者に限られず、自由に生きる全ての人達なのですが)、その「恐怖」に気づくだけだ。

問題は、「怖い」と感じたとき、「どう行動するか」。

怖いじゃないか、やめとけやめとけ…。それは評論家の言いぐさ。

いや、でも「怖い」なら「怖い」なりに、事実をきちんと整理し、歯を食いしばって、合理的に考え、戦ってみよう。

それに気づき、人として成長できるから、「経営者として働くこと」、あるいは、自由に生きることって、素晴らしい。

再建ターンアラウンド・社長プロフェッショナルとして働きながら、つくづく、そう思います。

HOPEキャピタル 河﨑晋太郎
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